花紅柳緑~院長のBLOG

座右の銘「医事は自然に如かず」

虎耳草(こじそう)│ユキノシタ


五 ゆき能した│「四季の花」夏之部・壹, 芸艸堂, 明治41年

「虎耳草」はユキノシタ科、ユキノシタ属の宿根性の半常緑多年草、学名Saxifraga stolonifera Meerb.の全草から得られる生薬である。薬性は苦、辛、寒、小毒、帰経は肺経、脾経、大腸経で、効能は疏風、清熱、凉血、解毒である。生薬の絞り汁を耳穴に詰めれば耳漏に効くと、別名「ミミダレグサ」と称して耳を治す民間薬として有名である。庭に生えているユキノシタを絞って耳に垂らしたが一向に止まらないと、かつて慢性耳漏で悩んだ挙句に受診された患者さんがおられた。外耳炎や外耳湿疹など外耳道の疾患が原因の耳漏があれば、急性中耳炎、慢性穿孔性中耳炎、真珠腫性中耳炎を含む中耳疾患に起因するものもあり、原因となる疾患は炎症性、外傷性、腫瘍性等々、多種多様である。耳鼻咽喉科学的診断・治療をお受けになる機会を外すと耳閉感や難聴が残ることがある。古来親しまれてきた薬草であっても、自家治療にはくれぐれも御注意の程を。


金絲荷葉草│多紀元悳著「廣惠濟急方」中巻・卒暴諸證・外傷之類, 東都書肆, 寛政二