詩歌とともに
春日之社│徳力富吉郎「版画大和路八景」 秋日 耿湋 返照入閭巷 憂來誰共語 古道少人行 秋風動禾黍 返照閭巷に入る 憂い来りて 誰と共にか語らん 古道人の行くこと少に 秋風禾黍を動かす いりひさす きびのうらはを ひるがえし かぜこそわたれ ゆくひともなし…
勧酒 于武陵 勘君金屈巵 君に勧む 金屈巵 満酌不須辞 満酌 辞するを須(もち)いず 花発多風雨 花発けば風雨多く 人生足別離 人生別離足(おお)し 巻六 五言絶句│「唐詩選 下」, p109-110 井伏鱒二 コノサカヅキヲ受ケテクレ ドウゾナミナミツガシテオクレ …
靜夜思 李白 牀前看月光 牀前に月光を看る 疑是地上霜 疑ふらくは是れ地上の霜かと 擧頭望山月 頭を擧げて山月を望み 低頭思故卿 頭を低れて故卿を思ふ 巻五・楽府│久保天随訳注:「李白全詩集一」, 日本図書センター 巻之六 楽府三十八首│王琦注:中国古典…
團扇畫譜 送柴侍御 王昌齢 流水通波接武岡 流水は波を通じて 武岡(ぶこう)に接すれば 送君不覚有離傷 君を送るも離傷有るを覚えず 青山一道同雲雨 青山一道なれば 雲雨も同(とも)にし 明月何曾是両郷 名月何ぞ曾て是れ両郷ならん (兪平伯等編著:「唐詩…
念奴嬌・赤壁懐古│「彩絵宗詞画譜」 念奴嬌 赤壁懐古 蘇軾 大江東去 浪淘盡 千古風流人物 故壘西邊 人道是 三國周郎赤壁 乱石崩雲 驚涛裂岸 捲起千堆雪 江山如畫 一時多少豪傑 遥想公瑾當年 小喬初嫁了 雄姿英發 羽扇綸巾 談笑間 強虜灰飛煙滅 故國神遊 多情…
遍地香雲│齊藤拙堂著:「月瀬記勝」坤, 看雲亭蔵板, 1882 五言 初春侍宴 一首 従二位大納言大伴宿禰旅人 寛政情既遠 迪古道惟新 穆々四門客 済々三徳人 梅雪乱残岸 煙霞接早春 共遊聖主沢 同賀撃壌仁 初春宴に侍す 政を寛(ゆるや)かにして情すでに遠く 古…
種田山頭火 どこまでも咲いてゐる花の名は知らない (昭和七年 日記6・4) たゞ一本の寒菊はみほとけに (昭和七年 日記11・25) 摘んできて名は知らぬ花をみほとけに (昭和八年 日記4・6) 咲くより剪られて香のたかい花 (昭和八年 日記4・7) 身のまはり…
飲酒二十首 其五 陶淵明 結盧在人境 盧を結んで人境に在り 而無車馬喧 而も車馬の喧(かまびす)しき無し 問君何能爾 君に問う 何ぞ能く爾(しか)ると 心遠地自偏 心遠ければ地自から偏なり 采菊東籬下 菊を采る東籬の下 悠然見南山 悠然として南山を見る …
柿本朝臣人麻呂が歌集の歌に曰はく 葦原の 瑞穂の国は 神ながら 言挙げせぬ国 しかれども 言挙げぞ我がする 言幸(ことさき)く ま幸くませと 障(つつ)みなく 幸くいませば 荒磯波(ありそなみ) ありても見むと 百重波(ももへなみ) 千重波(ちへなみ)…
憫農二首 李紳 春種一粒粟, 秋収万顆子。 四海無閑田, 農夫猶餓死。 鋤禾日当午, 汗滴禾下土。 誰知盤中餐, 粒粒皆辛苦。 (愈平伯 他編著:唐詩鑑賞辞典, p996-997, 上海辞書出版社, 2013) 農を憫(あはれ)む 春に種く一粒の粟、秋に収める万顆の子(み)…
『團扇畫譜』収載画 月出皎兮 佼人僚兮 舒窈糾兮 勞心悄兮 月出皓兮 佼人懰兮 舒懮受兮 勞心慅兮 月出照兮 佼人燎兮 舒夭紹兮 勞心懆兮 月出でて皎(かう)たり 佼(かう)人 僚(れう)たり 舒として窈糾(えうきゅう)たり 勞心 悄(せう)たり 月出でて皓…
山中問答 李白 問余何意棲碧山 余に問う 何の意ぞ 碧山に棲むと 笑而不答心自閑 笑って答えず 心自ら閑なり 桃花流水窅然去 桃花流水 窅然として去り 別有天地非人間 別に天地の人間に非ざる有り ------こんな山ん中でいったい何したいねん その答えやったら…
七言絶句の御歌は、花甲之年にあたり陶教授より賜わり、五言絶句の御歌は、上梓なさった御本の裏に高教授が教室で揮毫して下さった漢詩である。初めてお目にかかってから10年以上の月日が流れたが、御夫妻、両先生の牡丹花の様に和やかな御顔が、これからも…
別董大(董大に別る) 高適 十里黄雲白日曛 十里の黄雲 白日曛し 北風吹雁雪紛紛 北風雁を吹きて 雪紛紛たり 莫愁前路無知己 愁うる莫れ 前路知己なきを 天下誰人不識君 天下誰人か 君を識らざらん 見渡すかぎりのどんより雲 お天道様はすっかりかすんどる …
新春 真山民 余凍雪纔乾 余凍雪纔(わず)に乾き 初晴日驟暄 初晴日驟(にわ)かに暄(あたた)かなり 人心新歳月 人心 新歳月 春意旧乾坤 春意 旧乾坤 煙碧柳回色 煙は碧にして柳は色を回し 焼青草返魂 焼は青くして草は魂を返す 東風無厚薄 東風は厚薄無く…
敕勒歌(ちょくろくのうた) 無名氏 勅勒川 陰山下 ちょくろくのかわ いんざんのもと 天似穹廬 籠蓋四野 てんはきゅうろににて しやをろうがいす 天蒼蒼 野茫茫 てんはそうそう のはぼうぼう 風吹草低見牛羊 かぜふきくさたれて ぎゅうようあらわる モンゴル…
大西洋に沈んだタイタニック号が終焉を迎えた時、楽団長は乗客の心を励ますために仲間とともに最後まで演奏を続け、運命を船と共にする道を選んだ。その楽団長のバイオリンが公開されたニュースがかつて新聞に掲載されていた。1997年に公開されたジェームズ…
み吉野の 耳我の嶺に 時なくぞ 雪は降りける 間なくぞ 雨は降りける その雪の 時なきが如 その雨の 間なきが如 隈もおちず 思ひつつぞ来し その山道を (万葉集 巻1・25) 壬申の乱に勝利した天武天皇が、乱直前の吉野入りを回想なさった御歌である。後世の…