アート・文化
季節の新しい花材を入手した時は医院待合室に小品を生ける。水が零れない様に盛花は控えて投入れが主体となり、花材は穏やかな色合いを選び、強い香りを放つ花は避ける。それぞれ二・三日の展示期間、華展と同じく花材や器の水を毎日点検、更新する。待合室…
「花形歌舞伎特別公演 曽根崎心中物語」が京都南座で始まった。中村鴈治郎(敬称略、以下同文)が物語として新たに監修なさり、中村壱太郎、尾上右近の花形俳優が、役替わりで天満屋はつと平野屋徳兵衛を演じるダブルキャストである。当時の心中事件をもとに…
小金井 春の夜は桜尓あけて志まひけり 者せ於│尾形月耕「日本花圖繪」明治廿九金井橋(こがねゐばし) 多摩川の上水堀両岸の芝堤にあり。金井村(こがねゐむら)に架す。故に名とす。この地の桜花(さくら)は享保年間、群官川崎某(それがし)台命を奉じ、…
小桜威 勇士月│尾形月耕「日本花圖繪」明治廿九年小桜文様を施した威毛の鎧の武士が横笛を奏でる。萩の花が咲きこぼれる静夜、月が高く澄み上がった空には一片の雲もない。隈なく照らす月影の下、勇士の佇まいは常の心のまま従容として揺るぎなく、奏でる笛…
紫宸殿の桜 重盛 義平│尾形月耕「日本花圖繪」明治丗年(悪源太、源義平)の給ひけるは、「端武者共に目なかけそ、罪作りに。大将軍重盛計に目を懸よ。はしの匂の鎧に、蝶の丸すそ金物、黄鴾毛の馬の乗ぬしこそ大将軍よ。押ならべてくんでおち、てどりにせよ…
水際の桜 お玉可池故事│尾形月耕「日本花圖繪」明治廿八年於玉が池 旧名を桜が池と云ふ。今神田松枝町人家の後園に、於玉稲荷と称する小祠あり。里諺に云ふ、於玉が霊を鎮ると。その傍に少しく井の如き形残れり。昔の池の余波なりといへり。里老伝へ云ふ。昔…
櫻花問答 稲宣義 唐使│尾形月耕「日本花圖繪」明治丗年 正徳辛卯、韓使来聘時に宣義、彼の学士と客館に於て語りて筆す。書記等は物産を質問す。宣義曰く、「此樹我が土では櫻花と名づく。樹の高さ二三丈、葉は垂絲海棠と一様なれど、惟だ枝条柔軟ならざるを…
投入花の花入:師範許状取得の翌年、流派の新年会での初生けに用いた青竹を晒した寸胴花入、華道大和未生流第3代家元に賜った御銘「一滴の奏で」(ひとしずくのかなで)。 霞を詠むうぐいすの春になるらし 春日山霞たなびく夜目にみれども 万葉集・巻第十 春…
盛花の花入:華道大和未生流当代家元が御監修の信楽焼花入、小判型水盤。 霞を詠む冬過ぎて春来るらし 朝日さす春日の山に霞たなびく 万葉集・巻第十 春雑歌 詠み人知らず
新年明けましておめでとうございます。皆々様の御健康と御多幸をお祈り申し上げます。何卒本年も宜しくお願い申し上げます。 百首歌たてまつりける時、子日の心をよめるときはなる松も春を知りぬらん はつねをいはふ人にひかれて 千載和歌集・巻第一 春歌上 …
摂政太政大臣、大将に侍りし時 月歌五十首よませ侍りけるに有明の月のゆくへをながめてぞ野寺の鐘は聞くべかりける 新古今和歌集・巻十六 雑歌上 慈円
京都南座にまねき看板が上がり「吉例顔見世興行」が開幕した。師走の吉日、観劇の機会を得た昼の部の演目は、第一「醍醐の花見」、第二「一條大蔵譚」、第三「玉兔」、「鷺娘」、大喜利は第四「平家女護島」である。八代目尾上菊五郎丈江、六代目尾上菊之助…
千五百番歌合に草も木も降りまがへたる雪もよに 春待つ花の梅の香ぞする 新古今和歌集・巻第六 冬歌 右衛門督通具
楓橋夜泊 張継月落烏啼霜滿天 月落ち烏啼いて 霜 天に滿つ江楓漁火對愁眠 江楓漁火 愁眠に對す姑蘇城外寒山寺 姑蘇城外 寒山寺夜半鐘聲到客船 夜半の鐘聲 客船に到る唐詩選巻七・七言絶句│目加田誠著:新釈漢文大系19「唐詩選」,p751-752, 明治書院, 1985 春…
飲酒 其七 陶淵明秋菊有佳色 秋菊 佳色あり裛露掇其英 露に裛(ぬ)れたる其の英を掇(つ)み汎此忘憂物 此の忘憂の物に汎かべて遠我遺世情 我が世を遺るるの情を遠くす一觴雖獨進 一觴 独り進むと雖も杯盡壺自傾 杯 尽き 壺も自ずから傾く日入群動息 日入り…
路上雑詩 江馬細香㵎水潺潺霜葉紅 㵎水 潺潺(せんせん)として 霜葉紅なり高低路入乱山中 高低 路は入る 乱山の中斜陽一片行人少 斜陽 一片 行人少なり木末蹣跚是我僮 木末に蹣跚(まんさん)たるは 是れ我が僮江馬細香│福島理子注:江戸漢詩選 第三巻「女…
虫の音にかれゆく野辺の草むらに あはれを添へて澄める月影 山家集・上 秋 西行 叢邊に怨み遠くして風の聞き暗し 壁の底に吟幽かにして月の色寒し 叢邊怨遠風聞暗 壁底吟幽月色寒 和漢朗詠集・巻上 秋│虫 源順
うらみわびたちあかしたるさをしかの もゆるまなこにあきのかぜふく 自註鹿鳴集 南京新唱 会津八一
杜若われに発句の思ひあり 俳諧千鳥掛 芭蕉
閑さや岩にしみ入る蝉の声 おくのほそ道 芭蕉
夏日即事 館柳湾官斎涼意在心閑 官斎の涼意は 心の閑なるに在り半日靜居熱自刪 半日靜居すれば 熱自ら刪(のぞ)かる塵案払来無片牘 塵案 払い来たれば 片牘(へんとく)無く一函黄老対青山 一函の黄老 青山に対す 徳田武著:江戸詩人選集 第七巻「野村篁園 …
苦熱題恆寂師禅室 白居易 熱に苦しみ 恒寂師の禅室に題す人人避暑走如狂 人人 暑を避け 走りて狂するが如し獨有禪師不出房 独り禅師の房を出でざる有り可是禪房無熱到 可して是れ 禅房に熱の到ること無けんや但能心靜卽身涼 但だ能く心靜なれば 即ち身も涼し…
近畿地方は6月6日頃から雨天が多くなり梅雨入り宣言も近い。この時分の花である紫陽花には毒性があり、厚生労働省「自然毒のリスクプロファイル」で植物性自然毒に分類されている。<紫陽花(あじさい)のはなし>(2022/5/28)で触れたが、牧野富太郎博士は…
アヤメ(学名Iris sanguinea)、ジャーマンアイリス(学名Iris germanica)は、花菖蒲、杜若と同じくアヤメ科アヤメ属の多年草である。アヤメとジャーマンアイリスの花は後者と異なり、一番花が萎み始めた時に既に蕚から二番花の蕾が外に顔を出し膨らみ始め…
群馬県吾妻郡六合村(くにむら)は、群馬県草津村の六大字が分村して1900年に成立、1910年に中之条町に編入され、日本で最後に廃止された村である。合併後は、同町の六合地区として古事記・上巻序文にも記される名を今に残している。 いけばなに用いた花の種…
白い花の季節が過ぎると、藤や桐、花菖蒲や杜若など紫の花の季節が到来する。5月初めに濃紫色の花菖蒲、日の出と青紫色の杜若を取り寄せた。両者ともにアヤメ科アヤメ属の多年草で、一番花が咲き終わり萎れかけた時に摘み取れば、やがて鞘苞から二番花の新た…
題しらず春過ぎて夏来にけらし 白妙の衣干すてふ天の香久山 新古今和歌集・巻第三 夏歌 持統天皇御歌素人が生け花で杜若の蕾を咲かせる管理方法を伺ったことがある。湿地帯の植物でかなり乾燥を嫌う為、通常の水揚げとは別に、蕾を水にくぐらせる、霧吹きで…
寛平御時、后の宮の歌合の歌待てといふにとまらぬものと知りながら しひてぞ惜しき春の別れは 新古今和歌集・巻第二 春歌下 読人知らず全世界的に甚だ厳しい医療状況にあったCOVID-19拡大の時期、各種の学会総会・学術講演会、研究会、夏期講習会が一時延期…
櫻屏風 秀吉から光秀に贈る│尾形月耕「日本花圖繪」明治廿五年 尾形月耕作『日本花図絵』は、日本を代表的する桜花にまつわる人物や歴史が描かれた、明治25年から31年にかけて制作された浮世絵の作品集である。尾形月耕は明治から大正期の浮世絵師、日本画家…
マニフィーク(笹百合ハイブリット交配種) 清明 杜牧 清明時節雨紛紛 清明の時節 雨紛紛 路上行人欲斷魂 路上の行人 魂を断たんと欲す 借問酒家何處有 借問す 酒家 何れの処にか有ると 牧童遥指杏花村 牧童 遥かに指す 杏花村 川合康三編訳:「中国名詩選(…