花紅柳緑~院長のBLOG

座右の銘「医事は自然に如かず」

杜若の季節が来た

生け花 杜若と河骨生け花 杜若と河骨│大正13年

かきつばた(杜若、燕子花)と言えば『伊勢物語』の東下りの段である。『伊勢物語』の「をとこ」の魅力はまめと不羈の絶妙のバランスである。細やかでなくても細やかすぎても女性は始末に困る。

上賀茂・太田神社ではかきつばたの群生(天然記念物)が見頃を迎え、東京・根津美術館で毎年、尾形光琳作、国宝「燕子花図屏風」が展示される時期となった。  

奈良公園の神鹿が行く

春日参道 吉田博 神鹿春日参道 Way to the Kasuga Shrine│吉田 博 昭和拾三年

奈良公園の鹿は春日大社の神の使い、神鹿(しんろく)として保護されている国の天然記念物である。本年3月、県境を越えて約30kmも離れた大阪市で迷い鹿が目撃された。捕獲された一頭の雄鹿は大阪府の能勢温泉に移送され大切に飼育されることになった。奈良県からの差し入れの鹿せんべいを喜んで食べたらしい。奈良から移動した鹿の可能性が指摘されるも、区域外を離れた個体は野生動物としての扱いになり再び元の地には戻れない。片雲の風にさそわれて、漂泊の思いやまず。将又、筒井筒の男が生駒山を越えて高安の女に通いつめた様に、所願心にきざすところがあったのか。俺の前に道はない、俺の後ろに道ができる。新天地での健やかな鹿生を祈りたい。シカやんに幸あれ。