花紅柳緑~院長のBLOG

座右の銘「医事は自然に如かず」

紅花(こうか)│ベニバナ


五十四 紅花 夕錦│「四季の花」夏之部・參, 芸艸堂, 明治41年

「紅花」は、キク科、ベニバナ属の越年草ベニバナ、学名Carthamus tinctorius L.の花から得られる生薬である。活血化瘀薬に属し、薬性は辛、温、帰経は心経、肝経で、効能は活血通経、祛瘀止痛(寒性瘀血証に有効で、血を巡らせ経絡の流通を良好にして通経、止痛する。)である。妊婦、過多月経には禁忌である。方剤例には桃紅四物湯、紅花湯などがある。
 ベニバナの花期は6~7月で、最初は鮮黄色で後に紅色に変わる筒状花から成る頭花がつく。「半夏一つ咲き」は、夏至から数えて11日目の半夏生の頃に紅花畑で一つの花が咲き始める様子を称する。茎の頂に咲いた花を摘み取って採取することから別名「末摘花」となった。
(紅花とともに描かれた「夕錦」はオシロイバナの別名で、根から得られる生薬は「紫茉莉根」である。)

最上川中流域、河北町あたりで紅花の栽培が最も盛んであったのは江戸時代。このあたりの紅花は「最上紅花」と呼ばれ、品質も生産量も日本一だったそうだ。冬至、紅花は最上川を下って酒田に運ばれ、そこから北前船で京に上ったという。最上川の運んだ土の上で、最上川の水や川霧に育てられた紅花が再び最上川に運ばれて上方へ。最上川と紅花には切っても切り離せない結びつきがあるのだ。」
(紅花の人々 山根甚世│「七月の花」, p167)

「紅花が日本に渡来したのが五世紀とされ、中国では紅藍と呼び習わされていた。紅は赤を意味し、藍は青色であるが、もっとも親しみやすく代表的な染料であったから、「藍」は染料の総称ともなっていた。したがって紅藍は紅花の選良のことで、当時の日本人は、揚子江の南にあった呉の国から渡来した染料ということで呉藍(くれあい)と発音し、それが「くれない」へと転訛したのである。」
(「日本の色辞典」, p39)

まゆはきを 俤にして 紅の花     おくの細道 芭蕉 
行すゑは 誰肌ふれむ 紅の花     西の華 

参考資料:
大岡信, 田中澄江, 塚谷裕一監修:花の名随筆七「七月の花」, 作品社, 1999
吉岡幸雄著:「日本の色辞典」, 紫紅社, 2000
中村俊定校注:岩波文庫芭蕉俳句集」, 岩波書店, 2015
阿部秋生, 秋山虔, 今井源衛, 鈴木日出男校注・訳:日本古典文学全集「源氏物語1」, 小学館, 1994



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