花紅柳緑~院長のBLOG

座右の銘「医事は自然に如かず」

「花形歌舞伎特別公演 曽根崎心中物語」 南座で歌舞伎

令和八年 曽根崎心中物語 南座


「花形歌舞伎特別公演 曽根崎心中物語」が京都南座で始まった。中村鴈治郎(敬称略、以下同文)が物語として新たに監修なさり、中村壱太郎、尾上右近の花形俳優が、役替わりで天満屋はつと平野屋徳兵衛を演じるダブルキャストである。当時の心中事件をもとに近松門左衛門が書き下ろした「曽根崎心中」は成駒家の代表演目である。弥生吉日、自院の有志とともに向かった京都南座、桜プログラムの配役は、中村壱太郎のお初と尾上右近の徳兵衛である。復活した観音廻りの場を幕開きに、映画「国宝」に登場した蜆川新地天満屋の足問答、仄暗い曽根崎天神の森へと繋がる梅田橋、純白の卯の花が咲き誇る最期の地へ、その先は疑いなく未来成仏を遂げる姿を暗示するのか、二人が浄土への道を辿りゆく花道の姿で終幕となり、徹頭徹尾、息もつかせぬ物語、心に沁みる舞台であった。

幕間の後は、中村壱太郎と尾上右近、御両人の軽妙洒脱な「花形歌舞伎特別対談」が始まり、片岡仁三郎(天満屋惣兵衛)、尾上菊三呂(同内議 お紋)がゲストで登場され、歌舞伎界の四方山話を伺える楽しい対談であった。そして通常は撮影厳禁の場内にて、一階席や上階、左右各方位に其々向きをお変えになる御配慮のもと、「#南座で歌舞伎」のプラカードを掲げた御両人を撮影可能なひと時が設けられて終演となった。特別対談では客席に向かい、“初めて歌舞伎を観た方は”、“映画「国宝」を観て来た方は”などの質問がなされ、結構な数の御手が挙がっていた。振り返れば、2019年12月のCOVID-19報告以来、2023年5月に5類感染症移行の後も、歌舞伎観劇や映画鑑賞からはしばらく足が遠のいていた。また今回の入館時に配られた「花形歌舞伎 恋みくじ」であるが、お初のかんざしや徳兵衛の編笠模様の飴とともに、“メッセージを書いて場内に設けた絵馬掛処へ”と記された絵馬型のステッカーが入っていた。興奮冷めやらず、すっかり貼り忘れて帰宅の途についてしまったが、心躍らせて渾身の舞台を一緒に拝した皆様方はどの様な言葉を残されたのだろうか。