
昨日非不可恨悔 昨日の非は恨悔すべからず
明日是不可慮念 明日の是は慮念すべからず
飲与食不可過度 飲と食とは度を過ごすべからず
非正物不可苟食 正物に非あらざれば、苟(いやしく)も食すべからず
無事時不可服薬 事なき時は薬を服すべからず
頼壮実不可過房 壮実を頼んで房を過ごすべからず
勤動作不可好安 動作を勤めて安を好むべからず
(養生七不可│「日本衛生文庫第一輯」, p3-16)
「養生七不可」は、杉田玄白先生が古希の前年、七つの不に因み書き記された養生訓である。多岐にわたる和漢洋書の引用とともに、医家としての長年の学識と経験に基づいた詳細な解説文が各条文下に続く。七か条の大要は以下の通りである。簡潔な言葉で著された七不可は、現代においても、いやむしろ現代において常に心に留め置くべき誡めである。
----過ぎた日の事をあれこれくよくよ悔やまない。また先の日の事を取り越し苦労で思い悩まない。暴飲暴食を避けて度を越さずほどほどに。口に入れるものは吟味して品数を多くせず新鮮な品を。自然の治癒力を顧慮せずにみだりに薬に頼らない。元気だからと房事を過ごさない。つとめて体を動かしだらだらと安逸をむさぼらない。
参考資料:
三宅秀編:「日本衛生文庫第一輯」, 教育新潮研究會, 1917
片桐一男著:「知の開拓者 杉田玄白---『蘭学事始』とその時代, 勉強出版, 2015