花紅柳緑~院長のBLOG

座右の銘「医事は自然に如かず」

花の下にて│花信

古木の桜の所々咲きたるを見て わきて見ん老木は花もあはれなり いまいくたびか春にあふべき 山家集・上 春 西行

待たるる花│花信

おぼつかないづれの山の峯よりか 待たるる花の咲きはじむらん 山家集・上 春 西行

鈴蘭のにほひ│花信

鈴蘭の花貰はれたさうに咲く 祇園守 鈴蘭に託す一言一句かな 一句好日 鈴蘭が咲けば気になる小約束 初東雲・後藤比奈夫

開物仲尼に通じ 知言子輿に継ぐ│皆川淇園

言懐古示諸子 皆川淇園 斉籖同二酉 斉籖(さいせん) 二酉(にゆう)に同じく 家訓在三餘 家訓 三余に在り 開物通仲尼 開物 仲尼に通じ 知言継子輿 知言 子輿に継ぐ 不沽終櫝秘 沽(う)らずして終に櫝秘(とくひ)し 屡酔乏嚢儲 屡(しばし)ば酔ひて嚢儲(…

吾が道は一以て之を貫く│2025年度大学入学共通テスト「論語」

子曰、參乎、吾道一以貫之。曾子曰、唯。子出、門人問曰、何謂也。曾子曰、夫子之道、忠恕而已矣。 (巻第二 里仁第四) 子曰わく、参よ、吾が道は一以て之を貫く。曾子曰く、唯(い)。子出ず。門人問うて曰わく、何の謂いぞや。曽子曰わく、夫子の道は忠恕…

謹賀新年│令和七年乙巳の正月花

新正書懐 大沼枕山無事逢春懶更加 無事 春に逢うて 懶 更に加わる枕頭香迸小梅花 枕頭 香は迸(ほと)ばしる 小梅花一年又是甘人後 一年 又是れ人後に甘んぜん晏起追暄汲井華 晏起 暄(あたた)かきを追うて 井華を汲む 日野龍夫注:江戸詩人選集「成島柳北 …

令和六年甲辰歳末

石上布留野の小笹霜を経て ひと夜ばかりに残る年かな 新古今和歌集・巻第六 冬 摂政太政大臣 本年賜りました御厚情に謹んで御礼申し上げます。 良いお年をお迎えください。

待春・其二│頂いたお花を生ける

山風は吹けど吹かねどしら波の寄する岩根は久しかりけり 新古今和歌集・巻第七 賀歌 伊勢

待春│頂いたお花を生ける

住江に生ひ添ふ松の枝ごとに 君が千年の数ぞこもれる 新古今和歌集・巻第七 賀歌 前大納言隆国

やはりさっぱりと 大和未生流の風趣

華道の文目も分かぬ初学の頃からお導き頂いた大和未生流の花は、『東洋の道と美』の言葉そのままに「さっぱり、あっさり、すっきり」である。<さっぱりと│引き算の美学(2018/9/05)>に記した様に、耳鼻咽喉科医として花の道においても先輩の母が折に触れ…

敵国滅びては則ち謀臣亡ぶ│「韓非子」

越王攻呉王、呉王謝而告服。越王欲許之。范蠡大夫種曰、不可、昔天以越與呉、呉不受、今天反夫差、亦天禍也。以呉予越、亦拜受之、不可許也。大宰嚭遺大夫種書曰、狡兎盡則良犬烹、敵國滅則謀臣亡、大夫何不釋吳而患越乎。大夫種受書讀之、太息而歎曰、殺之…

根拠なき自信

昨年度のNHK大河ドラマ《鎌倉殿の13人》、第9回のタイトルは「根拠なき自信」であった。根拠に基づかない自信とは、evidenceを欠いた、他人様の承認御無用の自己陶酔である。鵜の目鷹の目の槍衾が突き刺さる世間の只中で、萎んで縮みがちな己をいかに膨らま…

江南の憶い│「夢江南」李煜

夢江南 一 李煜 千萬恨 千万の恨み 恨極在天涯 恨みの極まるは天の涯にあり 山月不知心裏事 山にかかる月は知らず心の裏(うち)の事 水風空落眼前花 水もふく風に空しく落つ眼の前りの花 揺曳碧雲斜 揺曳として碧雲斜めなり 夢江南 二 梳洗罷 梳洗(そせん…

涙の枕草子

<My Favorite Things(わたしのお気に入り)>は、ミュージカル映画、The Sound of Music(1965年)中の一曲である。歌いだしの‘Rindrops on roses and whiskers on kittens’から若い女性が推しの事物が続き、珠玉の小さな物語一つひとつが彼女の脳裏に鮮や…

或る日の待合室│花信

はや立冬過ぎるも暫し晩秋を惜しんで 一年にふたたび行かぬ 秋山を心に飽かず過ぐしつるかも 万葉集・巻第十

桂の黄葉

当院玄関横の黄葉(もみぢ)した桂の木、落葉は芳香を放つ。今宵は上弦の半月 黄葉する時になるらし 月人の桂の枝の色づく見れば 万葉集・巻第十

清少納言と紫式部

清少納言と紫式部は宮仕えの時期が異なり、実際には面識がなかったというのが通説である。『紫式部日記』の清少納言に関する悪罵と冷笑に満ちた一文からは、一筋縄では行かない紫式部の人となりの一端が窺える。ともに誇り高く、御主を守り抜かんという心ば…

藤袴にほふ│花信

ふぢばかまをよめる 主しらぬ香こそにほへれ 秋の野に誰ぬぎかけし藤袴ぞも 古今和歌集・巻第四 秋上 素性法師 蘭をよめる ふぢばかま主はたれともしら露の こぼれてにほふ野辺の秋風 新古今和歌集・巻第四 秋歌上 公猷法師

亢龍悔い有り

豊臣秀吉が、織田信長や徳川家康等、継嗣の若様育ちの武将と決定的に異なるのは、下積時代の生活環境である。碌な装備もないままに酷暑、極寒下の野営や夜駆けもあったろう。”ブラック企業“で長年にわたり心身を酷使した生活習慣が、生来蒲柳の質でなかろう…

群馬県六合村の秋草│花信

ホトトギス(杜鵑草)、フジバカマ(藤袴、紫紅と白)、ハゴロモフジバカマ(羽衣藤袴)、ショウジョウソウ(猩生草)、ダリア(天竺牡丹)、シュウメイギク(秋明菊)、コスモス(秋桜) 秋の野を分けゆく露にうつりつつ わが衣手は花の香ぞする 新古今和歌…

老驥伏櫪 志在千里│曹操孟徳

南屏山昇月 曹操/月岡芳年「月百姿」 3 Rising moon over Mount Nanping --- Cao Cao 歩出夏門行(神龜雖壽) 曹操孟徳 神龜雖壽 猶有竟時 神亀 壽なりと雖も 猶お竟くる時有り 騰蛇乘霧 終爲土灰 騰蛇 霧に乗るも 終には土灰と為る 老驥伏櫪 志在千里 老驥…

男と女のこと│「源氏物語」と「鬼平犯科帳 本所・桜屋敷」

古今、セーフティーネットがなければ、堕ち行く先は奈落の底である。駿馬の骨やら卒都婆小町等々は、袖にされた野郎共や政敵がざまあ見ろと噂したであろう老残の風姿である。(尤も貶めたつもりが、描かれた彼女等は老驥櫪に伏すともの気概に満ちる。)それ…

十六夜の月│頂いたお花を生ける

もろともに大内山は出でつれど入る方見せぬいさよひの月 源氏物語・末摘花 頭中将

今宵は中秋の名月│頂いたお花を生ける

百首歌奉りし時、月歌 いつまでか涙曇らで月は見し秋待ちえても秋ぞ恋しき 新古今和歌集・巻第四 秋歌上 前大僧正慈円

鳥兜の花咲く・其二│花信

天平の夢 胸の裡吹き抜けてゆく風のありひたすら会いたし野の仏たち 硝子の馬 帯野寿美子

鳥兜の花咲く・其一│花信

終日見野花乱れ咲く野辺の萩原分け暮れて露にも袖を染めてける哉 山家集・上 秋 西行

送り火を焚く

三界唯一心 心外無別法 心仏及衆生 是三無差別 一つ根に心の種の生ひ出でて花咲き実をば結ぶなりけり 聞書集 西行

令和六年夏の盆法要

人記品 寿命無有量 以愍衆生故 思ひありて尽きぬ命の憐みをよそのことにて過ぎにけるかな 聞書集 西行

深山辺の風│花信

山家初秋 さま/゛\のあはれをこめて梢吹く風に秋知る深山辺の里 山家集 西行

立秋の日

立秋日登樂遊園 白居易 獨行獨語曲江頭 獨り行き獨り語る 曲江の頭(ほとり) 廻馬遅遅上樂遊 馬を廻らすこと 遅遅として樂遊に上る 䔥颯涼風与衰鬢 䔥颯(せうさつ)たり 涼風と衰鬢(すいびん)と 誰教計會一時秋 誰か計會して 一時に秋ならしむる 巻十九 律詩…