花紅柳緑~院長のBLOG

座右の銘「医事は自然に如かず」

日記・エッセイ

立秋の日

立秋日登樂遊園 白居易 獨行獨語曲江頭 獨り行き獨り語る 曲江の頭(ほとり) 廻馬遅遅上樂遊 馬を廻らすこと 遅遅として樂遊に上る 䔥颯涼風与衰鬢 䔥颯(せうさつ)たり 涼風と衰鬢(すいびん)と 誰教計會一時秋 誰か計會して 一時に秋ならしむる 巻十九 律詩…

御供えのお花をいただく

御厚情に深謝いたします 夏と秋と行きかふ空のかよひぢは かたへすずしき風や吹くらむ 古今和歌集・巻第三 夏歌 凡河内躬恒

人間の裸のこと

年齢を重ねれば重ねる程、心身ともに個体差が拡大する。熟練の数寄屋棟梁に、木材の材質差は年月を経たものほど大きいとかつて伺った。人もまた遺伝的素因に後天的な環境要因が加わり多種多様な表現型を呈する。その一方、天性の稟質はその後の行動原理を差…

小暑の京都を行く│廬山寺の源氏庭

廬山寺 源氏庭 7月某日、2024年度・日耳鼻京都府地方部会主催の「補聴器相談医更新のための講習会」に参加した。講習会終了後、京都御苑東に位置する京都府立医科大学図書館会場から足をのばし、梨木神社、紫式部邸宅址にある天台圓浄宗廬山寺を参拝した。廬…

初蝉│花信

花がいろいろ咲いてみんな売られる 小豆島時代 尾崎放哉

朝雨に開く│令和六年入谷朝顔市

人々郊外に送り出でて三盃を傾け侍るに 朝顔は酒盛知らぬ盛り哉 笈日記 芭蕉

走り梅雨

室内に花を生けた日から花の望診が始まる。盛りを過ぎた後に散りゆく花があれば、花弁は落ちずに末枯れる花がある。切花延命剤を用いても何時かはどの花も花弁や葉の色艶が褪せゆき、蕾が開いてもはるかに小さな花に留まる。これでお別れですと散る花からは…

大宇陀の森野旧薬園に伺う│大和芍薬咲く

日本東洋医学会、奈良県部会企画の「森野旧薬園へ行こう~本草、薬業の歴史を刻んだ大宇陀!森野ラブ、生薬ラブになる遠足~」に参加した。森野旧薬園は、徳川幕府八代将軍吉宗の採薬調査に同行した森野賽郭翁が宇陀松山に創設、代々森野家が守ってこられた…

歳寒松柏│定子中宮と清少納言

新潟産の牡丹、春日山 令和六年の初花 姫宮の御方の童女の装束、つかうまつるべきよしおほせらるるに、「この袙のうはおそひは、なにの色にかつかうまつらすべき」と申すを、また笑ふもことわりなり。「姫宮の御前のものは、例の様にては、憎げにさぶらはむ…

己を知る者の為に│清少納言

御乳母の大輔の命婦、日向へ下るに、賜はする扇どものなかに、片つかたは、日いとうららかにさしたる田舎の館など多くして、いま片つかたは、京のさるべきところにて、雨いみじう降りたるに、 茜さす日に向かひても思ひ出でよ 都は晴れぬながめすらむと 御手…

リングに上がれば│紫式部日記

中国安徽省産、鳳丹皮の薬用牡丹、令和六年の初花 ものもどきうちし、「われは」と思へる人の前にては、うるさければものいふことももの憂くはべり。ことにいとしも、もののかたがた得たる人はかたし。ただ、わが心の立てつるすぢをとらへて、人をばなきにな…

甲辰歳を迎えて│大和未生流の花

大和未生流の新年祝賀会、四代家元襲名披露の会が先日開催された。会の冒頭、年明けの元日に能登半島を襲った地震で犠牲となられた方々へ1分間の黙祷を捧げた。2020年初頭に国内で初めてCOVID-19感染者が確認され、昨年2023年5月に5類移行となったが、流派の…

謹賀新年│令和六年甲辰の正月花

元旦試筆 藤原惺窩 我性不関間与忙 我が性は関せず 間と忙とに山林城市又何妨 山林 城市 又た何ぞ妨げん春来忽被風光触 春来 忽ち風光に触れらるれば作鳥歌兮作蝶狂 鳥と作りて歌ひ 蝶と作りて狂せん 惺窩先生文集・巻二│揖斐高編訳:「江戸漢詩撰(上)」, …

令和五年癸卯大晦日

百首歌の中に ゆきつもる己が年をばしらずして 春をばあすときくぞうれしき 拾遺和歌集・巻第四 冬 源重之 本年賜りました御厚情に謹んで御礼申し上げます。 どうぞよいお年をお迎えください。。

何年ぶりかの国立国会図書館関西館

時折、曇天から降り来る驟雨に見舞われながら、先日、関西文化学術研究都市にある国立国会図書館関西館に参上した。入館時に荷物はロッカーに預け、館内に持ち込みを許された私物は全て透明の袋に入れるのが決まりである。準備万端、入館カードとともに透明…

早食好 中食飽 晚食少

先の新潟への学会旅行にて、数年ぶりにホテルの朝食バイキングを堪能した。その場で調理しテーブルまで運んでくださるオムレツあり、和食、洋食から中華にわたり提供される種類が豊富である。普段の朝食でこれだけの品数を揃えることは不可能で、何よりも上…

新潟への学会旅行│日本めまい平衡医学会2023

やまと には かの いかるが の おほてら に みほとけ たち の まちて いまさむ 自註鹿鳴集・観仏三昧 會津八一 第82回日本めまい平衡医学会•学術講演会の隙間を縫って「會津八一記念館」と「旧齋藤家別邸」に伺った。新潟市古町が御生誕地である會津八一先生…

リアル学会とWEB学会

四年ぶりに遠方に出向きリアル学会に出席した。新幹線を乗り継ぎ約四時間、第82回日本めまい平衡医学会•学術講演会が開催の新潟市に到着した。本年のテーマは「めまい診療の標準化」である。COVID-19の影響で2020年以降、医学関係の学術集会、講演会や研究会…

猿沢池の龍のはなし

奈良 興福寺│土屋光逸 昭和12年 『宇治拾遺物語』、六<蔵人得業、猿沢の池の竜の事>は、蔵人得業恵印が悪戯心で立てた立札「この池より龍が登らんずるなり」から話が始まる。ゆかしき事かなと騒ぎ立てる世間の人々のみならず、仕掛け人までもが反対に煽ら…

而して今 飛火野の思い出

あさぎり(奈良公園)│笠松紫浪 昭和12年先日、午前診療終了後、恩師宅に夏の表敬訪問で伺った。梅雨明けの炎天から降り注ぐ容赦ない陽射しに加えて、余す所無く整備された石畳からの照り返しを浴びながら、ひたすら黙黙と奈良の三条通を歩き続けた。生駒山…

修羅の道

生来、打ち勝つ、勝ち取る、競り勝つとかの類が苦手である。淡白と格好をつけたいのではなく、単に元気不足の気虚だからに過ぎない。しかし好むと好まざるに拘らず、現世は競争社会である。周りを見渡せば其処彼処、“撃ちてし止まん”の気概に溢れ、他人との…

御受賞記念祝賀会に伺う

祇園祭宵山/徳力富吉郎 7月15日、瑞宝双光章受賞の栄に浴された西村完生先生の記念祝賀会が京都市内で開催された。令和五年春の叙勲において御受賞になられた栄誉を寿ぎ、地域医療・保健・介護に長年携わってこられた御功績に敬意を表し、西村先生御夫妻の…

小暑に開く│令和五年入谷朝顔市

角が蓼蛍の句に和す 朝顔に我は飯食ふ男哉 虚栗 芭蕉

器のこと

花器という名を冠するも花を挿すことを拒む器がある。外に開いた口はあるが、挿した花を鎮めず浮き上がらせる器がある。そうかと思えば、拙い手に委ねられた花を恬然と容れて自ずから定まる器がある。 “器の大きさ”の違いは外物の受容性にある。貪着で塞がれ…

法要に参列する

4月22日、往生即成仏の教えの御寺で恩師を偲び一同が法要に参列した。御院主様の読経が始まる前、MJQのSoftly, as in a morning sunriseを含む音楽が堂内に流れていた。 花を分くる峰の朝日の影はやがて有明の月を磨くなり 聞書集 西行

哀悼

明月 千尋の碧海を出でて故郷に帰り給う

器量

詰まるところ、おのれの器の大きさを以てしか相手の器は測れない。他者をしたりげに誹謗するは、我は小器という高らかな宣言に他ならない。之を叩くに小を以てすれば小鳴し、之を叩くに大を以てすれば大鳴す。師と学徒の関係に限らないことを知れば、襟を正…

祇王と仏御前

入道相国に寵愛された白拍子の祇王は、年もまだ若い仏御前の艶姿に心を奪われた入道に弊履の如く捨てられる。当初、召されていないのに推参した仏御前に対し「とうとう罷出よ」(さっさと退出せよ)と言い放った清盛に、不憫だから御対面だけでもと執り成し…

祝WBC2023日本代表侍ジャパン優勝

春庭花 舞楽│尾形月耕「日本花圖繪」明治廿九年

柳あをめる

お別れ会に参列するために京都市内に出た。三条大橋端の枝垂れ柳ははや芽吹いて春風に揺れている。みわたせば柳桜をこきまぜた都となる日も近い。